『賢く生きよう』
ーユダヤ人の知恵に学ぶー
新共同訳旧約聖書 箴言
(ソロモンの知恵より)
1章
*序
1:1 イスラエルの王、ダビデの子、ソロモンの箴言。
1:2 これは知恵と諭しをわきまえ/分別ある言葉を理解するため
1:3 諭しを受け入れて/正義と裁きと公平に目覚めるため。
1:4 未熟な者に熟慮を教え/若者に知識と慎重さを与えるため。
1:5 これに聞き従えば、賢人もなお説得力を加え/聡明な人も指導力を増すであろう。
1:6 また、格言、寓話/賢人らの言葉と謎を理解するため。
1:7 主を畏れることは知恵の初め。無知な者は知恵をも諭しをも侮る。
*父の諭し
1:8 わが子よ、父の諭しに聞き従え。母の教えをおろそかにするな。
1:9 それらは頭に戴く優雅な冠/首にかける飾りとなる。
1:10 わが子よ/ならず者があなたを誘惑しても/くみしてはならない。
1:11 彼らはこう言うだろう。「一緒に来い。待ち伏せして、血を流してやろう。罪もない者をだれかれかまわず隠れて待ち
1:12 陰府のように、生きながらひと呑みにし/丸呑みにして、墓穴に沈めてやろう。
1:13 金目の物は何ひとつ見落とさず/奪った物で家をいっぱいにしよう。
1:14 我々と運命を共にせよ。財布もひとつにしようではないか。」
1:15 わが子よ/彼らの道を共に歩いてはならない。その道に足を踏み入れるな。
1:16 彼らの足は悪事に向かって走り/流血をたくらんで急ぐ。
1:17 翼あるものは見ている。網を仕掛けるのは徒労だ。
1:18 待ち伏せて流すのは自分の血。隠れて待っても、落とすのは自分の命。
1:19 これが不当な利益を求める者の末路。奪われるのは自分の命だ。
*知恵の勧め
1:20 知恵は巷に呼ばわり/広場に声をあげる。
1:21 雑踏の街角で呼びかけ/城門の脇の通路で語りかける。
1:22 「いつまで/浅はかな者は浅はかであることに愛着をもち/不遜な者は不遜であることを好み/愚か者は知ることをいとうのか。
1:23 立ち帰って、わたしの懲らしめを受け入れるなら/見よ、わたしの霊をあなたたちに注ぎ/わたしの言葉を示そう。
1:24 しかし、わたしが呼びかけても拒み/手を伸べても意に介せず
1:25 わたしの勧めをことごとくなおざりにし/懲らしめを受け入れないなら
1:26 あなたたちが災いに遭うとき、わたしは笑い/恐怖に襲われるとき、嘲笑うであろう。
1:27 恐怖が嵐のように襲い/災いがつむじ風のように起こり/苦難と苦悩があなたたちを襲うとき。」
1:28 そのときになって/彼らがわたしを呼んでもわたしは答えず/捜し求めても/わたしを見いだすことはできない。
1:29 彼らは知ることをいとい/主を畏れることを選ばず
1:30 わたしの勧めに従わず/懲らしめをすべてないがしろにした。
1:31 だから、自分たちの道が結んだ実を食べ/自分たちの意見に飽き足りるがよい。
1:32 浅はかな者は座して死に至り/愚か者は無為の内に滅びる。
1:33 わたしに聞き従う人は確かな住まいを得/災難を恐れることなく平穏に暮らす。
2章
*父の諭し
2:1 わが子よ/わたしの言葉を受け入れ、戒めを大切にして
2:2 知恵に耳を傾け、英知に心を向けるなら
2:3 分別に呼びかけ、英知に向かって声をあげるなら
2:4 銀を求めるようにそれを尋ね/宝物を求めるようにそれを捜すなら
2:5 あなたは主を畏れることを悟り/神を知ることに到達するであろう。
2:6 知恵を授けるのは主。主の口は知識と英知を与える。
2:7 主は正しい人のために力を/完全な道を歩く人のために盾を備えて
2:8 裁きの道を守り/主の慈しみに生きる人の道を見守ってくださる。
2:9 また、あなたは悟るであろう/正義と裁きと公平はすべて幸いに導く、と。
2:10 知恵があなたの心を訪れ、知識が魂の喜びとなり
2:11 慎重さがあなたを保ち、英知が守ってくれるので
2:12 あなたは悪い道から救い出され/暴言をはく者を免れることができる。
2:13 彼らはまっすぐな道を捨て去り、闇の道を歩き
2:14 悪を働くことを楽しみとし/悪と暴言に小躍りする者。
2:15 彼らの道筋は曲がり、通う道はくねっている。
2:16 また、よその女、滑らかに話す異邦の女をも/あなたは免れることができる。
2:17 若き日の伴侶を捨て/自分の神との契約を忘れた女を。
2:18 彼女の家は死へ落ち込んで行き/その道は死霊の国へ向かっている。
2:19 彼女のもとに行く者はだれも戻って来ない。命の道に帰りつくことはできない。
2:20 こうして/あなたは善人の道を行き/神に従う人の道を守ることができよう。
2:21 正しい人は地に住まいを得/無垢な人はそこに永らえる。
2:22 神に逆らう者は地から断たれ/欺く者はそこから引き抜かれる。
3章
3:1 わが子よ、わたしの教えを忘れるな。わたしの戒めを心に納めよ。
3:2 そうすれば、命の年月、生涯の日々は増し/平和が与えられるであろう。
3:3 慈しみとまことがあなたを離れないようにせよ。それらを首に結び/心の中の板に書き記すがよい。
3:4 そうすれば、神と人の目に/好意を得、成功するであろう。
3:5 心を尽くして主に信頼し、自分の分別には頼らず
3:6 常に主を覚えてあなたの道を歩け。そうすれば/主はあなたの道筋をまっすぐにしてくださる。
3:7 自分自身を知恵ある者と見るな。主を畏れ、悪を避けよ。
3:8 そうすれば、あなたの筋肉は柔軟になり/あなたの骨は潤されるであろう。
3:9 それぞれの収穫物の初物をささげ/豊かに持っている中からささげて主を敬え。
3:10 そうすれば、主はあなたの倉に穀物を満たし/搾り場に新しい酒を溢れさせてくださる。
3:11 わが子よ、主の諭しを拒むな。主の懲らしめを避けるな。
3:12 かわいい息子を懲らしめる父のように/主は愛する者を懲らしめられる。
*知恵の勧め
3:13 いかに幸いなことか/知恵に到達した人、英知を獲得した人は。
3:14 知恵によって得るものは/銀によって得るものにまさり/彼女によって収穫するものは金にまさる。
3:15 真珠よりも貴く/どのような財宝も比べることはできない。
3:16 右の手には長寿を/左の手には富と名誉を持っている。
3:17 彼女の道は喜ばしく/平和のうちにたどって行くことができる。
3:18 彼女をとらえる人には、命の木となり/保つ人は幸いを得る。
3:19 主の知恵によって地の基は据えられ/主の英知によって天は設けられた。
3:20 主の知識によって深淵は分かたれ/雲は滴って露を置く。
*父の諭し
3:21 わが子よ、力と慎重さを保って/見失うことのないようにせよ。
3:22 そうすれば、あなたは魂に命を得/首には優雅な飾りを得るであろう。
3:23 あなたは確かな道を行き/足はつまずくことがない。
3:24 横たわるとき、恐れることはなく/横たわれば、快い眠りが訪れる。
3:25 突然襲う恐怖、神に逆らう者を見舞う破滅に/おびえてはならない。
3:26 主があなたの傍らにいまし/足が罠にかからないように守ってくださる。
3:27 施すべき相手に善行を拒むな/あなたの手にその力があるなら。
3:28 出直してくれ、明日あげよう、と友に言うな/あなたが今持っているなら。
3:29 友に対して悪意を耕すな/彼は安心してあなたのもとに住んでいるのだ。
3:30 理由もなく他人と争うな/あなたに悪事をはたらいていないなら。
3:31 不法を行う者をうらやむな、その道を選ぶな。
3:32 主は曲がった者をいとい/まっすぐな人と交わってくださる。
3:33 主に逆らう者の家には主の呪いが/主に従う人の住みかには祝福がある。
3:34 主は不遜な者を嘲り/へりくだる人に恵みを賜る。
3:35 知恵ある人は名誉を嗣業として受け/愚か者は軽蔑を受ける。
4章
*父の諭し
4:1 子らよ、父の諭しを聞け/分別をわきまえるために、耳を傾けよ。
4:2 わたしは幸いを説いているのだ。わたしの教えを捨ててはならない。
4:3 わたしも父にとっては息子であり/母のもとでは、いとけない独り子であった。
4:4 父はわたしに教えて言った。「わたしの言葉をお前の心に保ち/わたしの戒めを守って、命を得よ。
4:5 わたしの口が言いきかせることを/忘れるな、離れ去るな。知恵を獲得せよ、分別を獲得せよ。
4:6 知恵を捨てるな/彼女はあなたを見守ってくれる。分別を愛せよ/彼女はあなたを守ってくれる。
4:7 知恵の初めとして/知恵を獲得せよ。これまでに得たものすべてに代えても/分別を獲得せよ。
4:8 知恵をふところに抱け/彼女はあなたを高めてくれる。分別を抱きしめよ/彼女はあなたに名誉を与えてくれる。
4:9 あなたの頭に優雅な冠を戴かせ/栄冠となってあなたを飾る。」
4:10 わが子よ、聞け、わたしの言うことを受け入れよ。そうすれば、命の年月は増す。
4:11 わたしはあなたに知恵の道を教え/まっすぐな道にあなたを導いた。
4:12 歩いても、あなたの足取りはたじろがず/走っても、つまずくことはないであろう。
4:13 諭しをとらえて放してはならない。それを守れ、それはあなたの命だ。
4:14 神に逆らう者の道を歩くな。悪事をはたらく者の道を進むな。
4:15 それを避けよ、その道を通るな。そこからそれて、通り過ぎよ。
4:16 彼らは悪事をはたらかずには床に就かず/他人をつまずかせなければ熟睡できない。
4:17 背信のパンを食べ、不法の酒を飲む。
4:18 神に従う人の道は輝き出る光/進むほどに光は増し、真昼の輝きとなる。
4:19 神に逆らう者の道は闇に閉ざされ/何につまずいても、知ることはない。
4:20 わが子よ、わたしの言葉に耳を傾けよ。わたしの言うことに耳を向けよ。
4:21 見失うことなく、心に納めて守れ。
4:22 それらに到達する者にとって、それは命となり/全身を健康にする。
4:23 何を守るよりも、自分の心を守れ。そこに命の源がある。
4:24 曲がった言葉をあなたの口から退け/ひねくれた言葉を唇から遠ざけよ。
4:25 目をまっすぐ前に注げ。あなたに対しているものに/まなざしを正しく向けよ。
4:26 どう足を進めるかをよく計るなら/あなたの道は常に確かなものとなろう。
4:27 右にも左にも偏ってはならない。悪から足を避けよ。
5章
*父の諭し
5:1 わが子よ、わたしの知恵に耳を傾け/わたしの英知に耳を向けよ。
5:2 そうすれば、あなたは唇に慎みを守り/知識を保つことができる。
5:3 よその女の唇は蜜を滴らせ/その口は油よりも滑らかだ。
5:4 だがやがて、苦よもぎよりも苦くなり/両刃の剣のように鋭くなる。
5:5 彼女の足は死へ下って行き/一歩一歩と、陰府に達する。
5:6 人生の道のりを計ろうともせず/自分の道から外れても、知ることもない。
5:7 それゆえ、子らよ、わたしに聞き従え。わたしの口の言葉からそれてはならない。
5:8 あなたの道を彼女から遠ざけよ。その門口に近寄るな。
5:9 あなたの栄えを他人に/長寿を残酷なものに渡してはならない。
5:10 よその者があなたの力に飽き足りることを許すな。異邦人の家を/あなたが労した実りで満たしてはならない。
5:11 さもなければ後になって/肉も筋も消耗し、あなたは呻き
5:12 言わなければならない。「どうして、わたしの心は諭しを憎み/懲らしめをないがしろにしたのだろうか。
5:13 教えてくれる人の声に聞き従わず/導いてくれる人の声に耳を向けなかった。
5:14 会衆の中でも、共同体の中でも/わたしは最悪の者になりそうだ。」
5:15 あなた自身の井戸から水を汲み/あなた自身の泉から湧く水を飲め。
5:16 その源は溢れ出て/広場に幾筋もの流れができるであろう。
5:17 その水をあなただけのものにせよ。あなたのもとにいるよその者に渡すな。
5:18 あなたの水の源は祝福されよ。若いときからの妻に喜びを抱け。
5:19 彼女は愛情深い雌鹿、優雅なかもしか。いつまでもその乳房によって満ち足り/常にその愛に酔うがよい。
5:20 わが子よ/どうしてよその女に酔うことがあろう/異邦の女の胸を抱くことがあろう。
5:21 人の歩む道は主の御目の前にある。その道を主はすべて計っておられる。
5:22 主に逆らう者は自分の悪の罠にかかり/自分の罪の綱が彼を捕える。
5:23 諭しを受け入れることもなく/重なる愚行に狂ったまま、死ぬであろう。
6章
*父の諭し
6:1 わが子よ、もし友人の保証人となって/他国の者に手を打って誓い
6:2 あなたの口の言葉によって罠に陥り/あなたの口の言葉によって罠にかかったなら
6:3 わが子よ、そのときにはこうして自分を救え。命は友人の手中にあるのだから/行って足を踏みならし、友人を責め立てよ。
6:4 あなたの目に眠りを与えず/まぶたにまどろむことを許すな。
6:5 狩人の罠を逃れるかもしかのように/鳥のように、自分を救い出せ。
*格言集
6:6 怠け者よ、蟻のところに行って見よ。その道を見て、知恵を得よ。
6:7 蟻には首領もなく、指揮官も支配者もないが
6:8 夏の間にパンを備え、刈り入れ時に食糧を集める。
6:9 怠け者よ、いつまで横になっているのか。いつ、眠りから起き上がるのか。
6:10 しばらく眠り、しばらくまどろみ/しばらく手をこまぬいて、また横になる。
6:11 貧乏は盗賊のように/欠乏は盾を持つ者のように襲う。
6:12 ならず者、悪を行う者、曲がったことを言い歩く者
6:13 目くばせし、足で合図し、指さす者
6:14 心に暴言を隠し、悪を耕し/絶えずいさかいを起こさせる者
6:15 このような者には、突然、災いが襲いかかり/たちまち痛手を負うが、彼を癒す者はない。
6:16 主の憎まれるものが六つある。心からいとわれるものが七つある。
6:17 驕り高ぶる目、うそをつく舌/罪もない人の血を流す手
7章
*父の諭し
7:1 わが子よ、わたしの言うことを守り/戒めを心に納めよ。
7:2 戒めを守って、命を得よ。わたしの教えを瞳のように守れ。
7:3 それをあなたの指に結び、心の中の板に書き記せ。
7:4 知恵に「あなたはわたしの姉妹」と言い/分別に「わたしの友」と呼びかけよ。
7:5 それはあなたをよその女から/滑らかに話す異邦の女から守ってくれる。
7:6 わたしが家の窓から/格子を通して外を眺めていると
7:7 浅はかな者らが見えたが、中に一人/意志の弱そうな若者がいるのに気づいた。
7:8 通りを過ぎ、女の家の角に来ると/そちらに向かって歩いて行った。
7:9 日暮れ時の薄闇の中を、夜半の闇に向かって。
7:10 見よ、女が彼を迎える。遊女になりきった、本心を見せない女。
7:11 騒々しく、わがままで/自分の家に足の落ち着くことがない。
7:12 街に出たり、広場に行ったり/あちこちの角で待ち構えている。
7:13 彼女は若者をつかまえると接吻し/厚かましくも、こう言った。
7:14 「和解の献げ物をする義務があったのですが/今日は満願の供え物も済ませました。
7:15 それで、お迎えに出たのです。あなたのお顔を捜し求めて、やっと会えました。
7:16 寝床には敷物を敷きました/エジプトの色糸で織った布を。
7:17 床にはミルラの香りをまきました/アロエやシナモンも。
7:18 さあ、愛し合って楽しみ/朝まで愛を交わして満ち足りましょう。
7:19 夫は家にいないのです、遠くへ旅立ちました。
7:20 手に銀貨の袋を持って行きましたから/満月になるまでは帰らないでしょう。」
7:21 彼女に説き伏せられ、滑らかな唇に惑わされて
7:22 たちまち、彼は女に従った。まるで、屠り場に行く雄牛だ。足に輪をつけられ、無知な者への教訓となって。
7:23 やがて、矢が肝臓を貫くであろう。彼は罠にかかる鳥よりもたやすく/自分の欲望の罠にかかったことを知らない。
7:24 それゆえ、子らよ、わたしに聞き従い/わたしの口の言葉に耳を傾けよ。
7:25 あなたの心を彼女への道に通わすな。彼女の道に迷い込むな。
7:26 彼女は数多くの男を傷つけ倒し/殺された男の数はおびただしい。
7:27 彼女の家は陰府への道、死の部屋へ下る。
8章
*知恵の勧め
8:1 知恵が呼びかけ/英知が声をあげているではないか。
8:2 高い所に登り、道のほとり、四つ角に立ち
8:3 城門の傍ら、町の入り口/城門の通路で呼ばわっている。
8:4 「人よ/あなたたちに向かってわたしは呼びかける。人の子らに向かってわたしは声をあげる。
8:5 浅はかな者は熟慮することを覚え/愚か者は反省することを覚えよ。
8:6 聞け、わたしは指導者として語る。わたしは唇を開き、公平について述べ
8:7 わたしの口はまことを唱える。わたしの唇は背信を忌むべきこととし
8:8 わたしの口の言葉はすべて正しく/よこしまなことも曲がったことも含んでいない。
8:9 理解力のある人には/それがすべて正しいと分かる。知識に到達した人には/それがすべてまっすぐであると分かる。
8:10 銀よりもむしろ、わたしの諭しを受け入れ/精選された金よりも、知識を受け入れよ。
8:11 知恵は真珠にまさり/どのような財宝も比べることはできない。
8:12 わたしは知恵。熟慮と共に住まい/知識と慎重さを備えている。
8:13 主を畏れることは、悪を憎むこと。傲慢、驕り、悪の道/暴言をはく口を、わたしは憎む。
8:14 わたしは勧告し、成功させる。わたしは見分ける力であり、威力をもつ。
8:15 わたしによって王は君臨し/支配者は正しい掟を定める。
8:16 君侯、自由人、正しい裁きを行う人は皆/わたしによって治める。
8:17 わたしを愛する人をわたしも愛し/わたしを捜し求める人はわたしを見いだす。
8:18 わたしのもとには富と名誉があり/すぐれた財産と慈善もある。
8:19 わたしの与える実りは/どのような金、純金にもまさり/わたしのもたらす収穫は/精選された銀にまさる。
8:20 慈善の道をわたしは歩き/正義の道をわたしは進む。
8:21 わたしを愛する人は嗣業を得る。わたしは彼らの倉を満たす。
8:22 主は、その道の初めにわたしを造られた。いにしえの御業になお、先立って。
8:23 永遠の昔、わたしは祝別されていた。太初、大地に先立って。
8:24 わたしは生み出されていた/深淵も水のみなぎる源も、まだ存在しないとき。
8:25 山々の基も据えられてはおらず、丘もなかったが/わたしは生み出されていた。
8:26 大地も野も、地上の最初の塵も/まだ造られていなかった。
8:27 わたしはそこにいた/主が天をその位置に備え/深淵の面に輪を描いて境界とされたとき
8:28 主が上から雲に力をもたせ/深淵の源に勢いを与えられたとき
8:29 この原始の海に境界を定め/水が岸を越えないようにし/大地の基を定められたとき。
8:30 御もとにあって、わたしは巧みな者となり/日々、主を楽しませる者となって/絶えず主の御前で楽を奏し
8:31 主の造られたこの地上の人々と共に楽を奏し/人の子らと共に楽しむ。
8:32 さて、子らよ、わたしに聞き従え。わたしの道を守る者は、いかに幸いなことか。
8:33 諭しに聞き従って知恵を得よ。なおざりにしてはならない。
8:34 わたしに聞き従う者、日々、わたしの扉をうかがい/戸口の柱を見守る者は、いかに幸いなことか。
8:35 わたしを見いだす者は命を見いだし/主に喜び迎えていただくことができる。
8:36 わたしを見失う者は魂をそこなう。わたしを憎む者は死を愛する者。」
9章
*知恵の勧め
9:1 知恵は家を建て、七本の柱を刻んで立てた。
9:2 獣を屠り、酒を調合し、食卓を整え
9:3 はしためを町の高い所に遣わして/呼びかけさせた。
9:4 「浅はかな者はだれでも立ち寄るがよい。」意志の弱い者にはこう言った。
9:5 「わたしのパンを食べ/わたしが調合した酒を飲むがよい
9:6 浅はかさを捨て、命を得るために/分別の道を進むために。」
*格言集
9:7 不遜な者を諭しても侮られるだけだ。神に逆らう者を戒めても自分が傷を負うだけだ。
9:8 不遜な者を叱るな、彼はあなたを憎むであろう。知恵ある人を叱れ、彼はあなたを愛するであろう。
9:9 知恵ある人に与えれば、彼は知恵を増す。神に従う人に知恵を与えれば、彼は説得力を増す。
9:10 主を畏れることは知恵の初め/聖なる方を知ることは分別の初め。
9:11 わたしによって、あなたの命の日々も/その年月も増す。
9:12 あなたに知恵があるなら、それはあなたのもの。不遜であるなら、その咎は独りで負うのだ。
*愚かな女
9:13 愚かさという女がいる。騒々しい女だ。浅はかさともいう。何ひとつ知らない。
9:14 自分の家の門口に座り込んだり/町の高い所に席を構えたりして
9:15 道行く人に呼びかける/自分の道をまっすぐ急ぐ人々に。
9:16 「浅はかな者はだれでも立ち寄るがよい。」意志の弱い者にはこう言う。
9:17 「盗んだ水は甘く/隠れて食べるパンはうまいものだ。」
9:18 そこに死霊がいることを知る者はない。彼女に招かれた者は深い陰府に落ちる。
10章
10:1 ソロモンの格言集。知恵ある子は父の喜び、愚かな子は母の嘆き。
10:2 不正による富は頼りにならない。慈善は死から救う。
10:3 主は従う人を飢えさせられることはない。逆らう者の欲望は退けられる。
10:4 手のひらに欺きがあれば貧乏になる。勤勉な人の手は富をもたらす。
10:5 夏のうちに集めるのは成功をもたらす子。刈り入れ時に眠るのは恥をもたらす子。
10:6 神に従う人は頭に祝福を受ける。神に逆らう者は口に不法を隠す。
10:7 神に従う人の名は祝福され/神に逆らう者の名は朽ちる。
10:8 知恵ある心は戒めを受け入れ/無知な唇は滅びに落とされる。
10:9 完全な道を歩む人は安らかに歩む。道を曲げれば知られずには済まない。
10:10 嘲りのまなざしは人を苦しめる。無知な唇は滅びに落とされる。
10:11 神に従う人の口は命の源/神に逆らう者の口は不法を隠す。
10:12 憎しみはいさかいを引き起こす。愛はすべての罪を覆う。
10:13 聡明な唇には知恵がある。意志の弱い者の背には杖。
10:14 知恵ある人は知識を隠す。無知な者の口には破滅が近い。
10:15 金持ちの財産は彼の砦/弱い人の貧乏は破滅。
10:16 神に従う人の収入は生活を支えるため/神に逆らう者の稼ぎは罪のため。
10:17 諭しを守る人は命の道を歩み/懲らしめを捨てる者は踏み誤る。
10:18 うそを言う唇は憎しみを隠している。愚か者は悪口を言う。
10:19 口数が多ければ罪は避けえない。唇を制すれば成功する。
10:20 神に従う人の舌は精選された銀。神に逆らう者の心は無に等しい。
10:21 神に従う人の唇は多くの人を養う。無知な者は意志が弱くて死ぬ。
10:22 人間を豊かにするのは主の祝福である。人間が苦労しても何も加えることはできない。
10:23 愚か者は悪だくみを楽しみ/英知ある人は知恵を楽しむ。
10:24 神に逆らう者は危惧する事に襲われる。神に従う人の願いはかなえられる。
10:25 神に逆らう者はつむじ風の過ぎるように消える。神に従う人はとこしえの礎。
10:26 歯に酢、目に煙、主人に怠惰な召し使い。
10:27 主を畏れれば長寿を得る。主に逆らう者の人生は短い。
10:28 神に従う人は待ち望んで喜びを得る。神に逆らう者は期待しても裏切られる。
10:29 主の道は、無垢な人の力/悪を行う者にとっては滅亡。
10:30 神に従う人はとこしえに揺らぐことなく/神に逆らう者は地に住まいを得ない。
10:31 神に従う人の口は知恵を生み/暴言をはく舌は断たれる。
10:32 神に従う人の唇は好意に親しみ/神に逆らう者の口は暴言に親しむ。
11章
11:1 偽りの天秤を主はいとい/十全なおもり石を喜ばれる。
11:2 高慢には軽蔑が伴い/謙遜には知恵が伴う。
11:3 正しい人は自分の無垢に導かれ/裏切り者は自分の暴力に滅ぼされる。
11:4 怒りの日には、富は頼りにならない。慈善は死から救う。
11:5 無垢な人の慈善は、彼の道をまっすぐにする。神に逆らう者は、逆らいの罪によって倒される。
11:6 正しい人は慈善によって自分を救い/裏切り者は自分の欲望の罠にかかる。
11:7 神に逆らう者は力に望みをかけ、期待しても/死ねばそれも失われる。
11:8 神に従う人は苦難に陥っても助け出され/神に逆らう者が代わってそこに落とされる。
11:9 神を無視する者は口先で友人を破滅に落とす。神に従う人は知識によって助け出される。
11:10 神に従う人が幸いを得れば町は喜び/神に逆らう者が滅びれば歓声をあげる。
11:11 正しい人の祝福によって町は興り/神に逆らう者の口によって町は滅びる。
11:12 心ない者は友人を侮る。英知ある人は沈黙を守る。
11:13 悪口を言い歩く者は秘密をもらす。誠実な人は事を秘めておく。
11:14 指導しなければ民は滅びるが/参議が多ければ救われる。
11:15 他国の者の保証人となれば災難がふりかかる。手を打って誓うことを嫌えば安全だ。
11:16 美しい女は名誉をわがものとし/強い男は富をわがものとする。
11:17 慈しみ深い人は自分の魂を益し/残酷な者は自分の身に煩いを得る。
11:18 神に逆らう者の得る収入は欺き。慈善を蒔く人の収穫は真実。
11:19 慈善は命への確かな道。悪を追求する者は死に至る。
11:20 心の曲がった者を主はいとい/完全な道を歩む人を喜ばれる。
11:21 悪人は何代経ようとも罰を逃れえず/神に従う人の子孫は免れる。
11:22 豚が鼻に金の輪を飾っている。美しい女に知性が欠けている。
11:23 神に従う人の望みは常に良い。神に逆らう者の期待は怒りに終る。
11:24 散らしてなお、加えられる人もあり/締めすぎて欠乏する者もある。
11:25 気前のよい人は自分も太り/他を潤す人は自分も潤う。
11:26 穀物を売り惜しむ者は民の呪いを買い/供する人の頭上には祝福が与えられる。
11:27 善を捜し求める人は好意を尋ね求める人。悪を求める者には悪が訪れる。
11:28 富に依存する者は倒れる。神に従う人は木の葉のように茂る。
11:29 家に煩いをもたらす者は風を嗣業とする者。愚か者は知恵ある人の奴隷となる。
11:30 神に従う人の結ぶ実は命の木となる。知恵ある人は多くの魂をとらえる。
11:31 神に従う人がこの地上で報われるというなら/神に逆らう者、罪を犯す者が/報いを受けるのは当然だ。
12章
12:1 諭しを愛する人は知識を愛する。懲らしめを憎む者は愚かだ。
12:2 善人は主に喜び迎えられる。悪だくみをする者は罪ありとされる。
12:3 神に逆らえば、固く立つことはできない。神に従う人の根は揺らぐことがない。
12:4 有能な妻は夫の冠。恥をもたらす妻は夫の骨の腐れ。
12:5 神に従う人の計らいは正義。神に逆らう者の指図は、裏切り。
12:6 神に逆らう者の言葉は待ち伏せて流血を犯す。正しい人の口は自分を救う。
12:7 神に逆らう者は覆って滅びる。神に従う人の家は耐える。
12:8 人は見識のゆえに賞賛される。心がいじけている者は侮られる。
12:9 軽蔑されていても僕を持っている方が/尊敬されていてパンを欠くよりよい。
12:10 神に従う人は家畜の求めるものすら知っている。神に逆らう者は同情すら残酷だ。
12:11 自分の土地を耕す人はパンに飽き足りる。意志の弱い者は空を追う。
12:12 神に逆らう貪欲は、悪人らを捕える網となる。神に従う人の根は実りを与える。
12:13 悪人は唇の罪の罠にかかる。神に従う人は苦難から逃れ出る。
12:14 口の言葉が結ぶ実によって/人は良いものに飽き足りる。人は手の働きに応じて報いられる。
12:15 無知な者は自分の道を正しいと見なす。知恵ある人は勧めに聞き従う。
12:16 無知な者は怒ってたちまち知れ渡る。思慮深い人は、軽蔑されても隠している。
12:17 忠実に発言する人は正しいことを述べ/うそをつく証人は裏切る。
12:18 軽率なひと言が剣のように刺すこともある。知恵ある人の舌は癒す。
12:19 真実を語る唇はいつまでも確かなもの。うそをつく舌は一瞬。
12:20 悪を耕す者の心には裏切りがある。平和を勧める人の心には喜びがある。
12:21 神に従う人はどのような災難にも遭わない。神に逆らう者は災いで満たされる。
12:22 うそをつく唇を主はいとわれる。忠実を尽くす人を主は喜び迎えられる。
12:23 思慮深い人は知識を隠す。愚かな心はその無知を言いふらす。
12:24 勤勉な手は支配し/怠惰な手は奴隷となる。
12:25 心配は人をうなだれさせる。親切な言葉は人を喜ばせる。
12:26 神に従う人は友よりも好運である。神に逆らう者の道は人を迷わす。
12:27 怠惰な者は獲物を追うこともしない。勤勉な人は人類の貴い財産だ。
12:28 命は慈善の道にある。この道を踏む人に死はない。
13章
13:1 子は父の諭しによって知恵を得る。不遜な者は叱責に聞き従わない。
13:2 口の言葉が結ぶ実によって/人は良いものを享受する。欺く者の欲望は不法に向かう。
13:3 自分の口を警戒する者は命を守る。いたずらに唇を開く者は滅びる。
13:4 怠け者は欲望をもっても何も得られず/勤勉な人は望めば豊かに満たされる。
13:5 神に従う人は偽りの言葉を憎む。神に逆らう者は悪臭を放ち、辱められる。
13:6 慈善は完全な道を歩む人を守り/神に逆らうことは罪ある者を滅ぼす。
13:7 富んでいると見せて、無一物の者がいる。貧乏と見せて、大きな財産を持つ者がある。
13:8 財産が自分の身代金になる者もある。貧しい人は叱責を聞くことはない。
13:9 神に従う人の光は喜ばしく輝き/神に逆らう者の灯は消される。
13:10 高慢にふるまえば争いになるばかりだ。勧めを受け入れる人は知恵を得る。
13:11 財産は吐く息よりも速く減って行くが/手をもって集めれば増やすことができる。
13:12 待ち続けるだけでは心が病む。かなえられた望みは命の木。
13:13 言葉を侮る者は滅ぼされ/戒めを敬う者は報われる。
13:14 賢人の教えは命の源。死の罠を避けさせる。
13:15 見識は優雅さを伴う。欺く者の道は手ごわい。
13:16 思慮深い人は皆知識に基づいてふるまう。愚か者は無知をさらけ出す。
13:17 神に逆らう使者は災いに遭い/忠実な使いは癒す。
13:18 諭しをなおざりにする者は貧乏と軽蔑に遭う。懲らしめを守れば名誉を得る。
13:19 欲望がかなえられれば魂は快い。愚か者は悪を避けることをいとう。
13:20 知恵ある者と共に歩けば知恵を得/愚か者と交われば災いに遭う。
13:21 災難は罪人を追う。神に従う人には良い報いがある。
13:22 善人は孫の代にまで嗣業を残す。罪人の富は神に従う人のために蓄えられる。
13:23 貧しい人の耕作地に多くの食糧が実っても/正義が行われなければ奪われる。
13:24 鞭を控えるものは自分の子を憎む者。子を愛する人は熱心に諭しを与える。
13:25 神に従う人は食べてその望みを満たす。神に逆らう者の腹は満たされることがない。
14章
14:1 知恵ある女は家庭を築く。無知な女は自分の手でそれをこわす。
14:2 主を畏れる人はまっすぐ歩む。主を侮る者は道を曲げる。
14:3 無知な者の口には傲慢の杖。知恵ある人の唇は自分を守る。
14:4 牛がいなければ飼い葉桶は清潔だが/豊作をもたらすのは牛の力。
14:5 忠実な証人は欺かない。欺きの発言をするのはうそつきの証人。
14:6 不遜であれば知恵を求めても得られない。聡明であれば知識は容易に得られる。
14:7 愚か者の前から立ち去るがよい。彼に知識ある唇を認めることはできない。
14:8 思慮深い人は自分の知恵によって道を見分ける。愚か者の無知は欺く。
14:9 無知な者は不遜で互いをなじる。正しい人は互いに受け入れる。
14:10 魂の苦しみを知るのは自分の心。その喜びにも他人はあずからない。
14:11 神に逆らう者の家は断絶する。正しい人の天幕は繁栄する。
14:12 人間の前途がまっすぐなようでも/果ては死への道となることがある。
14:13 笑っていても心の痛むことがあり/喜びが悲しみに終ることもある。
14:14 二心ある者は自らの道に/善人は自らの業に飽かされる。
14:15 未熟な者は何事も信じこむ。熟慮ある人は行く道を見分けようとする。
14:16 知恵ある人は畏れによって悪を避け/愚か者は高慢で自信をもつ。
14:17 短気な者は愚かなことをする。陰謀家は憎まれる。
14:18 浅はかな者は無知を嗣業とし/熟慮ある人は知識をその冠とする。
14:19 神に逆らう者は神に従う人の門の前に/悪人は善人の前に、身を低くする。
14:20 貧乏な者は友にさえ嫌われるが/金持ちを愛する者は多い。
14:21 友を侮ることは罪。貧しい人を憐れむことは幸い。
14:22 罪を耕す者は必ず迷う。善を耕す人は慈しみとまことを得る。
14:23 どのような苦労にも利益がある。口先だけの言葉は欠乏をもたらす。
14:24 知恵ある人の冠はその富。愚か者の冠はその無知。
14:25 真実の証人は魂を救い/欺きの発言をする者は裏切る。
14:26 主を畏れれば頼るべき砦を得/子らのためには避けどころを得る。
14:27 主を畏れることは命の源/死の罠を避けさせる。
14:28 国が強大であれば王は栄光を得る。民が絶えれば君主は滅びる。
14:29 忍耐によって英知は加わる。短気な者はますます無知になる。
14:30 穏やかな心は肉体を生かし/激情は骨を腐らせる。
14:31 弱者を虐げる者は造り主を嘲る。造り主を尊ぶ人は乏しい人を憐れむ。
14:32 神に逆らう者は災いのときに退けられる。神に従う人は死のときにも避けどころを得る。
14:33 聡明な心では知恵は憩っているが/愚か者の中では自らを示す。
14:34 慈善は国を高め、罪は民の恥となる。
14:35 成功をもたらす僕は王に喜び迎えられ/恥をもたらす僕はその怒りを買う。
15章
15:1 柔らかな応答は憤りを静め/傷つける言葉は怒りをあおる。
15:2 知恵ある人の舌は知識を明らかに示し/愚か者の口は無知を注ぎ出す。
15:3 どこにも主の目は注がれ/善人をも悪人をも見ておられる。
15:4 癒しをもたらす舌は命の木。よこしまな舌は気力を砕く。
15:5 無知な者は父の諭しをないがしろにする。懲らしめを守る人は賢明さを増す。
15:6 神に従う人の家には多くの蓄えがある。神に逆らう者は収穫のときにも煩いがある。
15:7 知恵ある人の唇は知識をふりまく。愚か者の心は定まらない。
15:8 主は逆らう者のいけにえをいとい/正しい人の祈りを喜び迎えられる。
15:9 主は逆らう者の道をいとい/従うことを求める人を愛される。
15:10 道を捨てる者は諭しを不快に思う。懲らしめを憎む者は死に至る。
15:11 陰府も滅びの国も主の御前にある。人の子らの心はなおのこと。
15:12 不遜な者は懲らしめられることを嫌い/知恵ある人のもとに行こうとしない。
15:13 心に喜びを抱けば顔は明るくなり/心に痛みがあれば霊は沈みこむ。
15:14 聡明な心は知識を求め/愚か者の口は無知を友とする。
15:15 貧しい人の一生は災いが多いが/心が朗らかなら、常に宴会にひとしい。
15:16 財宝を多く持って恐怖のうちにあるよりは/乏しくても主を畏れる方がよい。
15:17 肥えた牛を食べて憎み合うよりは/青菜の食事で愛し合う方がよい。
15:18 激しやすい人はいさかいを引き起こし/忍耐深い人は争いを鎮める。
15:19 怠け者の道は茨にふさがれる。正しい人の道は開かれている。
15:20 知恵ある子は父を喜ばせ/愚か者は母を侮る。
15:21 意志の弱い者には無知が喜びとなる。英知ある人は歩みを正す。
15:22 相談しなければどんな計画も挫折する。参議が多ければ実現する。
15:23 正しく答える人には喜びがある。時宜にかなった言葉はいかに良いものか。
15:24 目覚めている人には上への道があり/下の陰府を避けさせる。
15:25 主は傲慢な者の家を根こそぎにし/やもめの地境を固めてくださる。
15:26 悪意を主はいとい、親切な言葉を清いとされる。
15:27 奪い取る者の家には煩いが多い。賄賂を憎む者は命を得る。
15:28 神に従う心は思いめぐらして応答し/神に逆らう口は災いを吐く。
15:29 主は逆らう者に遠くいますが/従う者の祈りを聞いてくださる。
15:30 目に光を与えるものは心をも喜ばせ/良い知らせは骨を潤す。
15:31 命を与える懲らしめに聞き従う耳は/知恵ある人の中に宿る。
15:32 諭しをなおざりにする者は魂を無視する者。懲らしめに聞き従う人は心を得る。
15:33 主を畏れることは諭しと知恵。名誉に先立つのは謙遜。
16章
16:1 人間は心構えをする。主が舌に答えるべきことを与えてくださる。
16:2 人間の道は自分の目に清く見えるが/主はその精神を調べられる。
16:3 あなたの業を主にゆだねれば/計らうことは固く立つ。
16:4 主は御旨にそってすべての事をされる。逆らう者をも災いの日のために造られる。
16:5 すべて高慢な心を主はいとわれる。子孫は罪なしとされることはない。
16:6 慈しみとまことは罪を贖う。主を畏れれば悪を避けることができる。
16:7 主に喜ばれる道を歩む人を/主は敵と和解させてくださる。
16:8 稼ぎが多くても正義に反するよりは/僅かなもので恵みの業をする方が幸い。
16:9 人間の心は自分の道を計画する。主が一歩一歩を備えてくださる。
16:10 王の唇には魔力がある。彼の口が裁きにおいて誤ることはない。
16:11 公正な天秤、公正な秤は主のもの。袋のおもり石も主の造られたもの。
16:12 神に逆らうことを王はいとわなければならない。神に従えば王座は堅く立つ。
16:13 正しいことを語る唇を王は喜び迎え/正直に語る人を愛する。
16:14 王の怒りは死の使い。それをなだめるのは知恵ある人。
16:15 王の顔の輝きは命を与える。彼の好意は春の雨をもたらす雲。
16:16 知恵を得ることは金にまさり/分別を得ることは銀よりも望ましい。
16:17 正しい人の道は悪を避けて通っている。魂を守る者はその道を守る。
16:18 痛手に先立つのは驕り。つまずきに先立つのは高慢な霊。
16:19 貧しい人と共に心を低くしている方が/傲慢な者と分捕り物を分け合うよりよい。
16:20 何事にも目覚めている人は恵みを得る。主に依り頼むことが彼の幸い。
16:21 心に知恵ある人は聡明な人と呼ばれる。優しく語る唇は説得力を増す。
16:22 見識ある人にはその見識が命の泉となる。無知な者には無知が諭しとなる。
16:23 知恵ある心は口の言葉を成功させ/その唇に説得力を加える。
16:24 親切な言葉は蜜の滴り。魂に甘く、骨を癒す。
16:25 人間の前途がまっすぐなようでも/果ては死への道となることがある。
16:26 労苦する者を労苦させるのは欲望だ。口が彼を駆り立てる。
16:27 ならず者は災いの炉、その唇には燃えさかる火。
16:28 暴言をはく者はいさかいを起こさせる。陰口は友情を裂く。
16:29 不法を行う者はその友を惑わして/良くない道を行かせる。
16:30 人は目を閉じて暴言を考え出し/悪を果たして口をすぼめる。
16:31 白髪は輝く冠、神に従う道に見いだされる。
16:32 忍耐は力の強さにまさる。自制の力は町を占領するにまさる。
16:33 くじは膝の上に投げるが/ふさわしい定めはすべて主から与えられる。
17章
17:1 乾いたパンの一片しかなくとも平安があれば/いけにえの肉で家を満たして争うよりよい。
17:2 成功をもたらす僕は恥をもたらす息子を支配し/その兄弟と共に嗣業の分配にあずかる。
17:3 銀にはるつぼ、金には炉、心を試すのは主。
17:4 悪事をはたらく者は悪の唇に耳を傾け/偽る者は滅亡の舌に耳を向ける。
17:5 貧しい人を嘲る者は造り主をみくびる者。災いのときに喜ぶ者は赦されない。
17:6 孫は老人の冠、子らは父の輝き。
17:7 高尚な唇は神を知らぬ者にふさわしくない。うそをつく唇は高貴な者に一層ふさわしくない。
17:8 賄賂は贈り主にとって美しい宝石。贈ればどこであろうと成功する。
17:9 愛を求める人は罪を覆う。前言を翻す者は友情を裂く。
17:10 理解力ある人を一度叱責する方が/愚か者を百度打つよりも効き目がある。
17:11 悪人は逆らうことのみ求める。彼には仮借ない使者が送られるであろう。
17:12 子を奪われた熊に遭う方が/愚か者の無知に会うよりましだ。
17:13 悪をもって善に報いるなら/家から災難は絶えない。
17:14 いさかいの始めは水の漏り始め。裁判沙汰にならぬうちにやめておくがよい。
17:15 悪い者を正しいとすることも/正しい人を悪いとすることも/ともに、主のいとわれることである。
17:16 愚か者が代金を手にしているのは何のためか。知恵を買おうにも、心がないではないか。
17:17 どのようなときにも、友を愛すれば/苦難のときの兄弟が生まれる。
17:18 意志の弱い者は手を打って誓い/その友のために証人となる。
17:19 罪を愛する者は争いを愛する。戸口を高く開く者は破れを招く。
17:20 心の曲がった者は幸いを受けない。舌をもって欺く者は災難に陥る。
17:21 愚か者を生めば悲しみがあり/神を知らない者の父に喜びはない。
17:22 喜びを抱く心はからだを養うが/霊が沈みこんでいると骨まで枯れる。
17:23 神に逆らう者は人のふところから賄賂を取り/裁きの道を曲げる。
17:24 分別のある人は顔を知恵に向け/愚か者は目を地の果てに向ける。
17:25 愚かな息子は父の悩みとなり/産んだ母の苦しみとなる。
17:26 神に従う人に罰を科したり/高貴な人をその正しさのゆえに打つのは/いずれも良いことではな
い。
17:27 口数を制する人は知識をわきまえた人。冷静な人には英知がある。
17:28 無知な者も黙っていれば知恵があると思われ/唇を閉じれば聡明だと思われる。
18章
18:1 離反する者は自分の欲望のみ追求する者。その事は、どんなに巧みにやってもすぐ知れる。
18:2 愚か者は英知を喜ばず/自分の心をさらけ出すことを喜ぶ。
18:3 神に逆らうことには侮りが伴い/軽蔑と共に恥辱が来る。
18:4 人の口の言葉は深い水。知恵の源から大河のように流れ出る。
18:5 神に従う人を裁きの座で押しのけ/神に逆らう人をひいきするのは良くない。
18:6 愚か者の唇は争いをもたらし、口は殴打を招く。
18:7 愚か者の口は破滅を/唇は罠を自分の魂にもたらす。
18:8 陰口は食べ物のように呑み込まれ/腹の隅々に下って行く。
18:9 仕事に手抜きする者は/それを破壊する者の兄弟だ。
18:10 主の御名は力の塔。神に従う人はそこに走り寄り、高く上げられる。
18:11 財産は金持ちの砦、自分の彫像のそびえる城壁。
18:12 破滅に先立つのは心の驕り。名誉に先立つのは謙遜。
18:13 聞き従う前に口答えをする者/無知と恥は彼のため。
18:14 人の霊は病にも耐える力があるが/沈みこんだ霊を誰が支えることができよう。
18:15 聡明な心は知識を獲得する。知恵ある耳は知識を追求する。
18:16 贈り物をすれば人の前途は開け/えらい人の前に彼を導く。
18:17 訴えごとを最初に出す人は正しく見えるが/相手方が登場すれば問いただされるであろう。
18:18 くじはいさかいを鎮め/手ごわい者どうしも引き分ける。
18:19 一度背かれれば、兄弟は砦のように/いさかいをすれば、城のかんぬきのようになる。
18:20 人は口の結ぶ実によって腹を満たし/唇のもたらすものによって飽き足りる。
18:21 死も生も舌の力に支配される。舌を愛する者はその実りを食らう。
18:22 妻を得るものは恵みを得る。主に喜び迎えられる。
18:23 物乞いをする者は哀願し/金持ちは横柄に答える。
18:24 友の振りをする友もあり/兄弟よりも愛し、親密になる人もある。
19章
19:1 貧乏でも、完全な道を歩む人は/唇の曲がった愚か者よりも幸いだ。
19:2 知識がなければ欲しても不毛だ。あまり足を急がせると過ちを犯す。
19:3 人は無知によって自分の道を滅ぼす。しかも主に対して心に憤りをもつ。
19:4 財産は友の数を増す。弱者は友から引き離される。
19:5 うそをつく証人は罰を免れることはない。欺きの発言をすれば逃げおおせることはない。
19:6 高貴な人の好意を求める者は多い。贈り物をする人にはだれでも友になる。
19:7 実の兄弟も皆、貧しい人を憎む。友達ならなお、彼を遠ざかる。彼らは言っていることを実行しようとはしない。
19:8 心を得た人は自分の魂を愛する。英知を守る人は幸いを見いだす。
19:9 うそをつく証人は罰を免れることはない。欺きの発言をする者は滅びる。
19:10 愚か者に快楽はふさわしくない。奴隷が君主を支配するのは、なおふさわしくない。
19:11 成功する人は忍耐する人。背きを赦すことは人に輝きをそえる。
19:12 王の憤りは若獅子のうなり声。王の好意は青草におく露。
19:13 愚かな息子は父の破滅。いさかい好きな妻は滴り続けるしずく。
19:14 家と財産は先祖からの嗣業。賢い妻は主からいただくもの。
19:15 怠惰は人を深い眠りに落とす。怠けていれば飢える。
19:16 戒めを守る人は魂を守る。自分の道を侮る者は死ぬ。
19:17 弱者を憐れむ人は主に貸す人。その行いは必ず報いられる。
19:18 望みのあるうちに息子を諭せ。死なせることを目指してはならない。
19:19 激しく憤る者は罰を受ける。救おうとしても、あおるだけだ。
19:20 勧めに聞き従い、諭しを受け入れよ。将来、知恵を得ることのできるように。
19:21 人の心には多くの計らいがある。主の御旨のみが実現する。
19:22 欲望は人に恥をもたらす。貧しい人は欺く者より幸い。
19:23 主を畏れれば命を得る。満ち足りて眠りにつき/災難に襲われることはない。
19:24 怠け者は鉢に手を突っ込むが/口にその手を返すことすらしない。
19:25 不遜な者を打てば、浅はかな者は熟慮を得る。聡明な人を懲らしめれば、知恵を見分ける。
19:26 父に暴力を振るい、母を追い出す者は/辱めと嘲りをもたらす子。
19:27 わが子よ、諭しに聞き従うことをやめるなら/知識の言葉からたちまち迷い出るであろう。
19:28 ならず者の証人は裁きを侮辱し/神に逆らう者の口は悪を呑み込む。
19:29 不遜な者に対しては罰が準備され/愚か者の背には鞭打ちが待っている。
20章
20:1 酒は不遜、強い酒は騒ぎ。酔う者が知恵を得ることはない。
20:2 王の脅威は若獅子のうなり声/彼を怒らせる者は自分を危険にさらす。
20:3 争いにかかわらないのは立派なことだ。無知な者は皆、争いを引き起こす。
20:4 怠け者は冬になっても耕さず/刈り入れ時に求めるが何もない。
20:5 思い計らいは人の心の中の深い水。英知ある人はそれをくみ出す。
20:6 親友と呼ぶ相手は多いが/信用できる相手を誰が見いだせよう。
20:7 主に従う人は完全な道を歩む。彼を継ぐ子らは幸い。
20:8 裁きの座に就いている王は/その目でどのような悪をもふるい分ける。
20:9 わたしの心を潔白にした、と誰が言えようか。罪から清めた、と誰が言えようか。
20:10 おもり石の使い分け、升の使い分け/いずれも主の憎まれること。
20:11 子供も、行いが清く正しいかどうか/行動によって示す。
20:12 聞く耳、見る目、主がこの両方を造られた。
20:13 眠りを愛するな、貧しくならぬために。目を見開いていれば、パンに飽き足りる。
20:14 「悪い、悪い」と買い手は言うが/そこを去ると、自慢する。
20:15 金もあり、珠玉も多い。しかし、貴いものは知識ある唇。
20:16 他国の者を保証する人からは着物を預かれ。他国の女を保証する人からは抵当を取れ。
20:17 欺き取ったパンはうまいが/後になって口は砂利で満たされる。
20:18 計画は助言を得て立てよ/戦争は指揮力を整えて始めよ。
20:19 秘密をばらす者、中傷し歩く者/軽々しく唇を開く者とは、交わるな。
20:20 父母を呪う者/彼の灯は闇のただ中で消える。
20:21 初めに嗣業をむさぼっても/後にはそれは祝福されない。
20:22 悪に報いたい、と言ってはならない。主に望みをおけ、主があなたを救ってくださる。
20:23 おもり石を使い分けることは主にいとわれる。天秤をもって欺くのは正しくない。
20:24 人の一歩一歩を定めるのは主である。人は自らの道について何を理解していようか。
20:25 聖別されたものとしよう、と軽々しく言い/後にその誓いを思い直せば罠となる。
20:26 賢い王は神に逆らう者を選び出し/彼らの上に車輪を引き回す。
20:27 主の灯は人間の吸い込む息。腹の隅々まで探る。
20:28 慈しみとまことは王を守る。王座は慈しみによって保たれる。
20:29 力は若者の栄光。白髪は老人の尊厳。
20:30 打って傷を与えれば悪をたしなめる。腹の隅々にとどくように打て。
21章
21:1 主の御手にあって王の心は水路のよう。主は御旨のままにその方向を定められる。
21:2 人間の道は自分の目に正しく見える。主は心の中を測られる。
21:3 神に従い正義を行うことは/いけにえをささげるよりも主に喜ばれる。
21:4 高慢なまなざし、傲慢な心は/神に逆らう者の灯、罪。
21:5 勤勉な人はよく計画して利益を得/あわてて事を行う者は欠損をまねく。
21:6 うそをつく舌によって財宝を積む者は/吹き払われる息、死を求める者。
21:7 神に逆らう者は自分の暴力に引きずられて行く。正義を行うことを拒んだからだ。
21:8 歩む道が曲がったりそれたりしていても/清く正しい行いをする人がある。
21:9 いさかい好きな妻と一緒に家にいるよりは/屋根の片隅に座っている方がよい。
21:10 神に逆らう者の欲望は悪に注がれ/その目は隣人をも憐れまない。
21:11 不遜な者を罰すれば、浅はかな者は知恵を得る。知恵ある人を目覚めさせるなら/彼は知識を得る。
21:12 神に従う人は逆らう者の家を識別し/神に逆らう者を災いに落とす。
21:13 弱い人の叫びに耳を閉ざす者は/自分が呼び求める時が来ても答えは得られない。
21:14 ひそかに贈り物をしておけば怒りはなだめられ/賄賂をふところに入れてやれば激怒も静まる。
21:15 裁きを行うことは、神に従う人には喜び/悪を行う者には滅び。
21:16 目覚めへの道から迷い出た者は死霊の集いに入る。
21:17 快楽を愛する者は欠乏に陥り/酒と香油を愛する者は富むことがない。
21:18 神に逆らう者は神に従う人の代償とされ/欺く者は正しい人の身代金にされる。
21:19 いさかい好きで怒りっぽい妻といるよりは/荒れ野に座っている方がよい。
21:20 知恵ある人の住まいには望ましい宝と香油がある。愚か者はそれを呑み尽くす。
21:21 恵みと慈しみを追い求める人は/命と恵みと名誉を得る。
21:22 知恵ある人はひとりで勇士たちの町に上り/その頼みとする砦を落とすこともできる。
21:23 自分の口と舌を守る人は/苦難から自分の魂を守る。
21:24 増長し、高慢な者、その名は不遜。高慢のかぎりを尽くす。
21:25 怠け者は自分の欲望に殺される。彼の手が働くことを拒むからだ。
21:26 欲望は絶えることなく欲し続ける。神に従う人は与え、惜しむことはない。
21:27 神に逆らう者のいけにえは忌むべきものだ。悪だくみがあってささげるのだから。
21:28 欺いて語る証人は滅びる。聞き従う人の言葉はとこしえに堪える。
21:29 神に逆らう者は厚かましく事を行う。正しい人は自分の道を整える。
21:30 どのような知恵も、どのような英知も、勧めも/主の御前には無に等しい。
21:31 戦いの日のために馬が備えられるが/救いは主による。
22章
22:1 名誉は多くの富よりも望ましく/品位は金銀にまさる。
22:2 金持ちと貧乏な人が出会う。主はそのどちらも造られた。
22:3 思慮深い人は災難が来ると見れば身を隠す。浅はかな者は通り抜けようとして痛い目に遭う。
22:4 主を畏れて身を低くすれば/富も名誉も命も従って来る。
22:5 曲がった道には茨と罠。そこから遠ざかる人は自分の魂を守る。
22:6 若者を歩むべき道の初めに教育せよ。年老いてもそこからそれることがないであろう。
22:7 金持ちが貧乏な者を支配する。借りる者は貸す者の奴隷となる。
22:8 悪を蒔く者は災いを刈り入れる。鞭は傲慢を断つ。
22:9 寛大な人は祝福を受ける/自分のパンをさいて弱い人に与えるから。
22:10 不遜な者を追い出せば、いさかいも去る。争いも嘲笑もやむ。
22:11 清い心を愛する人は唇に品位があり/王がその友となる。
22:12 主の目は知識を守り、欺きの言葉を滅ぼす。
22:13 怠け者は言う。「外には獅子がいる。町に出ればわたしは殺される。」
22:14 よその女の口は深い墓穴/主の憤りにふれた者はそこに陥る。
22:15 若者の心には無知がつきもの。これを遠ざけるのは諭しの鞭。
22:16 弱者を搾取して自分を富ませたり/金持ちに贈り物をしたりすれば、欠乏に陥る。
*賢人の言葉
22:17 耳を傾けて賢人たちの言葉を聞け。わたしの知識に心を向けよ。
22:18 それをあなたの腹に納め/ひとつ残らず唇に備えておけば喜びを得る。
22:19 あなたが主に信頼する者となるように/今日、あなたに教えを与えよう。
22:20 わたしの意見と知識に従って三十句/あなたのために書きつけようではないか。
22:21 真理とまことの言葉をあなたに知らせるために/まことの言葉をあなたの使者に持ち帰らせよう。
22:22 弱い人を搾取するな、弱いのをよいことにして。貧しい人を城門で踏みにじってはならない。
22:23 主は彼らに代わって争い/彼らの命を奪う者の命を、奪われるであろう。
22:24 怒りやすい者の友になるな。激しやすい者と交わるな。
22:25 彼らの道に親しんで/あなたの魂を罠に落としてはならない。
22:26 手を打って誓うな、負債の保証をするな。
22:27 償うための物があなたになければ/敷いている寝床まで取り上げられるであろう。
22:28 昔からの地境を移してはならない/先祖の定めたものなのだから。
22:29 技に熟練している人を観察せよ。彼は王侯に仕え/怪しげな者に仕えることはない。
23章
23:1 支配者と共に食卓に着いたなら/何に直面しているのかをよく理解せよ。
23:2 あなたが食欲おうせいな人間なら/自分の喉にナイフを突きつけたも同じだ。
23:3 供される珍味をむさぼるな、それは欺きのパンだ。
23:4 富を得ようとして労するな/分別をもって、やめておくがよい。
23:5 目をそらすや否や、富は消え去る。鷲のように翼を生やして、天に飛び去る。
23:6 強欲な者のパンを食べようとするな。供される珍味をむさぼるな。
23:7 彼はその欲望が示すとおりの人間だ。「食べるがよい、飲むがよい」と言っても/心はあなたを思ってはいない。
23:8 あなたは食べたものを吐き出すことになり/あなたが親切に言ったことも台無しになる。
23:9 愚か者の耳に語りかけるな/あなたの見識ある言葉を侮るだけだから。
23:10 昔からの地境を移してはならない。みなしごの畑を侵してはならない。
23:11 彼らを贖う神は強く/彼らに代わってあなたと争われるであろう。
23:12 あなたの心を諭しの言葉に/耳を知識の言葉に傾けよ。
23:13 若者を諭すのを控えてはならない。鞭打っても、死ぬことはない。
23:14 鞭打てば、彼の魂を陰府から救うことになる。
23:15 わが子よ、あなたの心が知恵を得れば/わたしの心は喜び祝う。
23:16 あなたの唇が公正に語れば/わたしのはらわたは喜び躍る。
23:17 罪人らのことに心を燃やすことはない/日ごと、主を畏れることに心を燃やすがよい。
23:18 確かに未来はある/あなたの希望が断たれることはない。
23:19 わが子よ、聞き従って知恵を得よ。あなたの心が道をまっすぐに進むようにせよ。
23:20 大酒を飲むな、身を持ち崩すな。
23:21 大酒を飲み、身を持ち崩す者は貧乏になり/惰眠をむさぼる者はぼろをまとう。
23:22 父に聞き従え、生みの親である父に。母が年老いても侮ってはならない。
23:23 真理を得よ、知恵も諭しも分別も手放すな。
23:24 神に従う人の父は大いに喜び躍り/知恵ある人の親は、その子によって楽しみを得る。
23:25 父が楽しみを得/あなたを生んだ母が喜び躍るようにせよ。
23:26 わが子よ、あなたの心をわたしにゆだねよ。喜んでわたしの道に目を向けよ。
23:27 遊女は深い墓穴、異邦の女は狭い井戸だ。
23:28 彼女は盗人のように待ち伏せし/繰り返し男たちを欺く。
23:29 不幸な者は誰か、嘆かわしい者は誰か/いさかいの絶えぬ者は誰か、愚痴を言う者は誰か/理由なく傷だらけになっているのは誰か/濁った目をしているのは誰か。
23:30 それは、酒を飲んで夜更かしする者。混ぜ合わせた酒に深入りする者。
23:31 酒を見つめるな。酒は赤く杯の中で輝き、滑らかに喉を下るが
23:32 後になると、それは蛇のようにかみ/蝮の毒のように広がる。
23:33 目は異様なものを見/心に暴言をはき始める。
23:34 海の真ん中に横たわっているかのように/綱の端にぶら下がっているかのようになる。
23:35 「打たれたが痛くもない。たたかれたが感じもしない。酔いが醒めたらまたもっと酒を求めよう。」
24章
24:1 悪者のことに心を燃やすな/彼らと共にいることを望むな。
24:2 悪者が心に思いめぐらすのは暴力。唇が語るのは労苦を引き起こすこと。
24:3 家は知恵によって築かれ、英知によって固く立つ。
24:4 知識は部屋を満たし、貴く喜ばしい財産となる。
24:5 知恵ある男は勇敢にふるまい/知識ある男は力を発揮する。
24:6 戦争には指揮する力が必要であり/勝利を得るためには作戦を練るべきだ。
24:7 無知な者に知恵は高尚すぎる。城門で口を開くべきではない。
24:8 悪意ある考えを持つ者は陰謀家と呼ばれる。
24:9 無知の謀は過ちとされる。不遜な態度は人に憎まれる。
24:10 苦難の襲うとき気力を失い、力を出し惜しみ
24:11 死に捕えられた人を救い出さず/殺されそうになっている人を助けず
24:12 「できなかったのだ」などと言っても/心を調べる方は見抜いておられる。魂を見守る方はご存じだ。人の行いに応じて報いを返される。
24:13 わが子よ、蜜を食べてみよ、それは美味だ。滴る蜜は口に甘い。
24:14 そのように、魂にとって知恵は美味だと知れ。それを見いだすなら、確かに未来はある。あなたの希望が断たれることはない。
24:15 神に逆らう者よ、神に従う人の住みかを狙うな。その憩いの場で暴力を振るうな。
24:16 神に従う人は七度倒れても起き上がる。神に逆らう者は災難に遭えばつまずく。
24:17 敵が倒れても喜んではならない。彼がつまずいても心を躍らせるな。
24:18 主がそういうあなたを見て不快とされるなら/彼への怒りを翻されるであろう。
24:19 悪事を働く者に怒りを覚えたり/主に逆らう者のことに心を燃やすことはない。
24:20 悪者には未来はない。主に逆らう者の灯は消える。
24:21 わが子よ、主を、そして王を、畏れよ。変化を求める者らと関係を持つな。
24:22 突然、彼らの不幸は始まる。この両者が下す災難を誰が知りえよう。
*賢人の言葉
24:23 これらもまた、賢人の言葉である。裁判でえこひいきをするのは良くない。
24:24 罪ある者を正しいと宣言するなら/すべての民に呪われ、すべての国にののしられる。
24:25 罪ある者を懲らしめる人は喜ばれる。恵みと祝福がその上にある。
24:26 正しい答えをする人は、くちづけをする人。
24:27 外ではあなたの仕事を準備し、畑を整え/それから、家を築くがよい。
24:28 いいかげんに友人の証人となってはならない。自分の唇で惑わされたいのか。
24:29 「人がわたしにするように/わたしもその人に対してしよう。それぞれの行いに応じて報いよう」とは/あなたの言うべきことではない。
24:30 怠け者の畑の傍らを/意志の弱い者のぶどう畑の傍らを、通ってみた。
24:31 見よ、いらくさが一面に茂り/あざみが覆い尽くし、石垣は崩れていた。
24:32 わたしはそれに心を向け、観察した。それを見て、諭しを得た。
24:33 「しばらく眠り、しばらくまどろみ/手をこまぬいて、またしばらく横になる。
24:34 貧乏は盗賊のように/欠乏は盾を取る者のように襲う。」
25章
*ソロモンの箴言
25:1 これらもまた、ソロモンの箴言である。ユダの王ヒゼキヤのもとにある人々が筆写した。
25:2 ことを隠すのは神の誉れ/ことを極めるのは王の誉れ。
25:3 天の高さと地の深さ、そして王の心の極め難さ。
25:4 銀から不純物を除け。そうすれば細工人は器を作ることができる。
25:5 王の前から逆らう者を除け。そうすれば王位は正しく継承される。
25:6 王の前でうぬぼれるな。身分の高い人々の場に立とうとするな。
25:7 高貴な人の前で下座に落とされるよりも/上座に着くようにと言われる方がよい。何ごとかを目にしても
25:8 性急に争いの場に引き出そうとするな。そのため友人に嘲られることになったら/将来どうするつもりか。
25:9 自分のことについて友人と言い争うのはよいが/他人の秘密を漏らしてはならない。
25:10 それを聞いた人があなたを恥に落とし/あなたの悪評は去らないであろう。
25:11 時宜にかなって語られる言葉は/銀細工に付けられた金のりんご。
25:12 聞き分ける耳に与えられる賢い懲らしめは/金の輪、純金の飾り。
25:13 忠実な使者は遣わす人にとって/刈り入れの日の冷たい雪。主人の魂を生き返らせる。
25:14 雨雲が垂れこめ風が吹くのに雨が降らない。与えもしない贈り物について吹聴する人。
25:15 忍耐強く対すれば隊長も誘いに応じる。穏やかに語る舌は骨をも砕く。
25:16 蜂蜜を見つけたら欲しいだけ食べるがよい。しかし食べ過ぎて吐き出すことにならぬように。
25:17 友人の家に足を運ぶのはまれにせよ/飽きられ、嫌われることのないように。
25:18 こん棒、剣、鋭い矢/友人に対して偽証を立てる者。
25:19 悪い歯、よろめく足/苦難の襲うとき、欺く者を頼りにすること。
25:20 寒い日に衣を脱がせる者/ソーダの上に酢を注ぐ者/苦しむ心に向かって歌をうたう者。
25:21 あなたを憎む者が飢えているならパンを与えよ。渇いているなら水を飲ませよ。
25:22 こうしてあなたは炭火を彼の頭に積む。そして主があなたに報いられる。
25:23 北風は雨をもたらし/陰口をたたく舌は憤りの表情をもたらす。
25:24 いさかいの好きな妻と一緒に家にいるよりは/屋根の片隅に座っている方がよい。
25:25 渇いた喉に冷い水、遠い地からの良い便り。
25:26 泉が踏み汚され、水源が荒らされる。神に従う人が神に逆らう者の前によろめく。
25:27 蜂蜜を食べ過ぎればうまさは失われる。名誉を追い求めれば名誉は失われる。
25:28 侵略されて城壁の滅びた町。自分の霊を制しえない人。
26章
26:1 夏の雪、刈り入れ時の雨のように/愚か者に名誉はふさわしくない。
26:2 鳥は渡って行くもの、つばめは飛び去るもの。理由のない呪いが襲うことはない。
26:3 馬に鞭、ろばにくつわ/愚か者の背には杖。
26:4 愚か者にはその無知にふさわしい答えをするな/あなたが彼に似た者とならぬために。
26:5 愚か者にはその無知にふさわしい答えをせよ。彼が自分を賢者だと思い込まぬために。
26:6 愚か者に物事を託して送る者は/足を切られ、不法を呑み込まされる。
26:7 愚か者の口にすることわざは/歩けない人の弱い足。
26:8 愚か者に名誉を与えるのは/石投げ紐に石を袋ごとつがえるようなものだ。
26:9 愚か者の口にすることわざは/酔っぱらいの手に刺さるとげ。
26:10 愚か者を雇い、通りすがりの人を雇うのは/射手が何でもかまわず射抜くようなものだ。
26:11 犬が自分の吐いたものに戻るように/愚か者は自分の愚かさを繰り返す。
26:12 自分を賢者と思い込んでいる者を見たか。彼よりは愚か者の方がまだ希望が持てる。
26:13 怠け者は言う/「道に獅子が、広場に雄獅子が」と。
26:14 扉はちょうつがいに乗って回転する。怠け者は寝床の上で寝返りを打つ。
26:15 怠け者は鉢に手を突っ込むが/口にその手を返すことをおっくうがる。
26:16 怠け者は自分を賢者だと思い込む/聡明な答えのできる人七人にもまさって。
26:17 通行人が自分に関係のない争いに興奮するのは/犬の耳をつかむようなものだ。
26:18 分別を失った者が、火矢を、死の矢を射る。
26:19 友人を欺く者はそれに等しい。しかも、「ふざけただけではないか」と言う。
26:20 木がなければ火は消える。陰口を言う者が消えればいさかいは鎮まる。
26:21 炎には炭、火には木/争いを燃え上がらせるのはいさかい好きな者。
26:22 陰口は食べ物のように呑み込まれ/腹の隅々に下って行く。
26:23 唇は燃えていても心に悪意を抱いている者は/混じりもののある銀で覆った土器のよう。
26:24 唇をよそおっていても憎悪を抱いている者は/腹に欺きを蔵している。
26:25 上品な声を出すからといって信用するな/心には七つの忌むべきことを持っている。
26:26 憎しみはごまかし隠しても/その悪は会衆の中で露見する。
26:27 穴を掘る者は自分がそこに落ち/石を転がせばその石は自分に返ってくる。
26:28 うそをつく舌は憎んで人を砕き/滑らかな舌はつまずきを作る。
27章
27:1 明日のことを誇るな。一日のうちに何が生まれるか知らないのだから。
27:2 自分の口で自分をほめず、他人にほめてもらえ。自分の唇でではなく、異邦人にほめてもらえ。
27:3 石は重く、砂も目方がかかる。無知な者が不機嫌なのはどちらよりも重い。
27:4 憤りは残忍、怒りは洪水。ねたみの前に誰が耐ええようか。
27:5 あらわな戒めは、隠された愛にまさる。
27:6 愛する人の与える傷は忠実さのしるし/憎む人は数多くの接吻を与える。
27:7 飽き足りている人は蜂の巣の滴りも踏みつける。飢えている人には苦いものも甘い。
27:8 鳥が巣から飛び去るように/人もその置かれたところから移って行く。
27:9 香油も香りも心を楽しませる。友人の優しさは自分の考えにまさる。
27:10 あなたの友人、父の友人を捨てるな。災いの日に、あなたの兄弟の家には行くな。近い隣人は遠い兄弟にまさる。
27:11 わが子よ、知恵を得てわたしの心を楽しませよ。そうすれば/わたしを嘲る者に言葉を返すことができる。
27:12 思慮深い人は災難が来ると見れば身を隠す。浅はかな者は通り抜けようとして痛い目に遭う。
27:13 他国の者を保証する人からは着物を預かれ。他国の女を保証する人からは抵当を取れ。
27:14 友人への祝福も、早朝に大声でするなら/それは呪いと見なされる。
27:15 降りしきる雨の日に滴り続けるしずくと/いさかい好きな妻は似ている。
27:16 彼女を制する者は風をも制する。彼は香油をその右の手の力と呼ぶ。
27:17 鉄は鉄をもって研磨する。人はその友によって研磨される。
27:18 いちじくの番人はいちじくを食べる。主人を守る者は名誉を得る。
27:19 水が顔を映すように、心は人を映す。
27:20 陰府も滅びの国も飽き足りることがない。人間の目も飽き足りることがない。
27:21 銀にはるつぼ、金には炉。人は称賛によって試される。
27:22 無知な者を臼に入れて/穀物と共に杵でついても/無知は彼を去らない。
27:23 あなたの羊の様子をよく知っておけ。群れに心を向けよ。
27:24 財産はとこしえに永らえるものではなく/冠も代々に伝わるものではない。
27:25 草は刈り取られ、また青草が現れ/山々の牧草は集められる。
27:26 羊はあなたの着物となり/雄山羊は畑の代価となる。
27:27 雌山羊の乳はあなたのパン、一家のパンとなり/あなたに仕える少女らを養う。
28章
28:1 神に逆らう者は追う者もないのに逃げる。神に従う人は若獅子のように自信がある。
28:2 反乱のときには国に首領となる者が多く出る。分別と知識のある人ひとりによって安定は続く。
28:3 貧しい者が弱者を搾取するのは/雨が洗い流してパンがなくなるようなものだ。
28:4 教えを捨てる者は神に逆らう者を賛美し/教えを守る者は彼らと闘う。
28:5 悪を行う者らは裁きを理解しない。主を尋ね求める人々はすべてを理解する。
28:6 貧乏でも、完全な道を歩む人は/二筋の曲がった道を歩む金持ちより幸いだ。
28:7 教えを守るのは分別のある子。放蕩者と交わる者はその父を辱める。
28:8 利息、高利で財産を殖やす者は/集めても、弱者を憐れむ人に渡すことになろう。
28:9 教えに耳をそむけて聞こうとしない者は/その祈りも忌むべきものと見なされる。
28:10 正しい人を悪の道に迷い込ませる者は/自分の掘った穴に落ちる。無垢な人々は良い嗣業を受ける。
28:11 金持ちは自分を賢いと思い込む。弱くても分別ある人は彼を見抜く。
28:12 神に従う人々が喜び勇むと輝きは増し/神に逆らう者が興ると人は身を隠す。
28:13 罪を隠している者は栄えない。告白して罪を捨てる者は憐れみを受ける。
28:14 いかに幸いなことか、常に恐れを抱いている人。心の頑な者は苦難に陥る。
28:15 獅子がうなり、熊が襲いかかる。神に逆らう者が弱い民を支配する。
28:16 指導者に英知が欠けると搾取が増す。奪うことを憎む人は長寿を得る。
28:17 流血の罪の重荷を負う者は、逃れて墓穴に至る。だれも彼を援助してはならない。
28:18 完全な道を歩む人は救われる。二筋の曲がった道を歩む者は直ちに倒れる。
28:19 自分の土地を耕す人はパンに飽き足りる。空を追う者は乏しさに飽き足りる。
28:20 忠実な人は多くの祝福を受ける。富むことにはやる者は罰せられずには済まない。
28:21 人を偏り見るのはよくない。だれでも一片のパンのために罪を犯しうる。
28:22 貪欲な者は財産を得ようと焦る。やって来るのが欠乏だとは知らない。
28:23 人を懲らしめる者は/舌の滑らかな者より喜ばれる。
28:24 父母のものをかすめて/「これは罪ではない」と言う者は/滅ぼそうとたくらむ者の仲間だ。
28:25 貪欲な者はいさかいを引き起こす。主に依り頼む人は潤される。
28:26 自分の心に依り頼む者は愚か者だ。知恵によって歩む人は救われる。
28:27 貧しい人に与える人は欠乏することがない。目を覆っている者は多くの呪いを受ける。
28:28 神に逆らう者が興ると人は身を隠し/彼らが滅びると神に従う人がふえる。
29章
29:1 懲らしめられることが多いと人は頑固になる。彼は突然打ち砕かれ、もう癒すことはできない。
29:2 神に従う人が大いになると民は喜び/神に逆らう人が支配すると民は嘆く。
29:3 知恵を愛する人は父を喜ばせる。遊女を友とする者は財産を失う。
29:4 王が正しい裁きによって国を安定させても/貢ぎ物を取り立てる者がこれを滅ぼす。
29:5 友にへつらう者は/彼の一歩一歩に網を仕掛ける者。
29:6 悪を行う者は罪の罠にかかる。神に従う人は喜びの叫びをあげる。
29:7 神に従う人は弱者の訴えを認める。神に逆らう者はそれを認めず、理解しない。
29:8 不遜な者らが町に騒動を起こす。知恵ある人々は怒りを静める。
29:9 知恵ある人が無知な者と裁きの座で対すると/無知な者は怒り、嘲笑い、静まることがない。
29:10 無垢な人を憎み、その血を流そうとする者がある。正しい人々はその命を助けようとする。
29:11 愚か者は自分の感情をさらけ出す。知恵ある人はそれを制し静める。
29:12 支配者が偽りの言葉に耳を貸すなら/仕える人は皆、逆らう者となる。
29:13 貧しい人と虐げる者とが出会う。主はどちらの目にも光を与えておられる。
29:14 弱い人にも忠実な裁きをする王。その王座はとこしえに堅く立つ。
29:15 懲らしめの杖は知恵を与える。放任されていた子は母の恥となる。
29:16 神に逆らう者が多くなると罪も増す。神に従う人は彼らの滅びるさまを見るであろう。
29:17 あなたの子を諭すなら、安心していられる。彼はあなたの魂に楽しみを与える。
29:18 幻がなければ民は堕落する。教えを守る者は幸いである。
29:19 僕を言葉で諭すことはできない。理解したとしても、答えないであろう。
29:20 軽率に話す者を見たか。彼よりは愚か者にまだ望みがある。
29:21 僕を幼いときから甘やかしていると/後には手のつけられないものになる。
29:22 怒りやすい人はいさかいを引き起こし/激しやすい人は多く罪を犯す。
29:23 驕る者は低くされ/心の低い人は誉れを受けるようになる。
29:24 盗人にくみする者は自分の魂を憎む者/呪いが聞こえても黙っている。
29:25 人は恐怖の罠にかかる。主を信頼する者は高い所に置かれる。
29:26 支配者の御機嫌をうかがう者は多い。しかし、人を裁くのは主である。
29:27 神に従う人は悪を行う者を憎む。神に逆らう者は正しく歩む人を憎む。
30章
*アグルの言葉
30:1 ヤケの子アグルの言葉。託宣。この人は言う、神よ、わたしは疲れた。神よ、わたしは疲れ果てた。
30:2 まことに、わたしはだれよりも粗野で/人間としての分別もない。
30:3 知恵を教えられたこともなく/聖なる方を知ることもできない。
30:4 天に昇り、また降った者は誰か。その手の内に風を集め/その衣に水を包むものは誰か。地の果てを定めたものは誰か。その名は何というのか。その子の名は何というのか。あなたは知っているのか。
30:5 神の言われることはすべて清い。身を寄せればそれは盾となる。
30:6 御言葉に付け加えようとするな。責められて/偽る者と断罪されることのないように。
30:7 二つのことをあなたに願います。わたしが死ぬまで、それを拒まないでください。
30:8 むなしいもの、偽りの言葉を/わたしから遠ざけてください。貧しくもせず、金持ちにもせず/わたしのために定められたパンで/わたしを養ってください。
30:9 飽き足りれば、裏切り/主など何者か、と言うおそれがあります。貧しければ、盗みを働き/わたしの神の御名を汚しかねません。
30:10 僕のことを主人に中傷してはならない。彼はあなたを呪い、あなたは罪に定められる。
30:11 父を呪い、母を祝福しない世代
30:12 自分を清いものと見なし/自分の汚物を洗い落とさぬ世代
30:13 目つきは高慢で、まなざしの驕った世代
30:14 歯は剣、牙は刃物の世代/それは貧しい人を食らい尽くして土地を奪い/乏しい人を食らい尽くして命を奪う。
30:15 蛭の娘はふたり。その名は「与えよ」と「与えよ。」飽くことを知らぬものは三つ。十分だと言わぬものは四つ。
30:16 陰府、不妊の胎、水に飽いたことのない土地/決して十分だと言わない火。
30:17 父を嘲笑い、母への従順を侮る者の目は/谷の烏がえぐり出し、鷲の雛がついばむ。
30:18 わたしにとって、驚くべきことが三つ/知りえぬことが四つ。
30:19 天にある鷲の道/岩の上の蛇の道/大海の中の船の道/男がおとめに向かう道。
30:20 そうだ、姦通の女の道も。食べて口をぬぐい/何も悪いことはしていないと言う。
30:21 三つのことに大地は震え/四つのことに耐ええない。
30:22 奴隷が王となること/神を知らぬ者がパンに飽き足りること
30:23 憎むべき女が夫を持つこと/はしためが女主人を継ぐこと。
30:24 この地上に小さなものが四つある。それは知恵者中の知恵者だ。
30:25 蟻の一族は力はないが/夏の間にパンを備える。
30:26 岩狸の一族は強大ではないが/その住みかを岩壁に構えている。
30:27 いなごには王はないが/隊を組んで一斉に出動する。
30:28 やもりは手で捕まえられるが/王の宮殿に住んでいる。
30:29 足取りの堂々としているものが三つ/堂々と歩くものが四つある。
30:30 獣の中の雄、決して退かない獅子
30:31 腰に帯した男、そして雄山羊/だれにも手向かいさせない王。
30:32 増長して恥知らずになり/悪だくみをしているなら、手で口を覆え。
30:33 乳脂を絞るとバターが出てくる。鼻を絞ると血が出てくる。怒りを絞ると争いが出てくる。
31章
◆レムエルの言葉
31:1 マサの王レムエルが母から受けた諭しの言葉。
31:2 ああ、わが子よ/ああ、わが腹の子よ/ああ、わが誓いの子よ。
31:3 あなたの力を女たちに費やすな。王さえも抹殺する女たちに/あなたの歩みを向けるな。
31:4 レムエルよ/王たるものにふさわしくない。酒を飲むことは、王たるものにふさわしくない。強い酒を求めることは/君たるものにふさわしくない。
31:5 飲めば義務を忘れ/貧しい者の訴えを曲げるであろう。
31:6 強い酒は没落した者に/酒は苦い思いを抱く者に与えよ。
31:7 飲めば貧乏を忘れ/労苦を思い出すこともない。
31:8 あなたの口を開いて弁護せよ/ものを言えない人を/犠牲になっている人の訴えを。
31:9 あなたの口を開いて正しく裁け/貧しく乏しい人の訴えを。
◆有能な妻
31:10 有能な妻を見いだすのは誰か。真珠よりはるかに貴い妻を。
31:11 夫は心から彼女を信頼している。儲けに不足することはない。
31:12 彼女は生涯の日々/夫に幸いはもたらすが、災いはもたらさない。
31:13 羊毛と亜麻を求め/手ずから望みどおりのものに仕立てる。
31:14 商人の船のように/遠くからパンを運んで来る。
31:15 夜の明ける前に起き出して/一族には食べ物を供し/召し使いの女たちには指図を与える。
31:16 熟慮して畑を買い/手ずから実らせた儲けでぶどう畑をひらく。
31:17 力強く腰に帯し、腕を強くする。
31:18 商売が好調かどうか味わい/灯は夜も消えることがない。
31:19 手を糸車に伸べ、手のひらに錘をあやつる。
31:20 貧しい人には手を開き、乏しい人に手を伸べる。
31:21 雪が降っても一族に憂いはない。一族は皆、衣を重ねているから。
31:22 敷物を自分のために織り、麻と紫の衣を着ている。
31:23 夫は名を知られた人で/その地の長老らと城門で座に着いている。
31:24 彼女は亜麻布を織って売り、帯を商人に渡す。
31:25 力と気品をまとい、未来にほほえみかける。
31:26 口を開いて知恵の言葉を語り/慈しみの教えをその舌にのせる。
31:27 一族の様子によく目を配り/怠惰のパンを食べることはない。
31:28 息子らは立って彼女を幸いな人と呼び/夫は彼女をたたえて言う。
31:29 「有能な女は多いが/あなたはなお、そのすべてにまさる」と。
31:30 あでやかさは欺き、美しさは空しい。主を畏れる女こそ、たたえられる。
31:31 彼女にその手の実りを報いよ。その業を町の城門でたたえよ。